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映画「英国王のスピーチ」
カテゴリ: 日々のネタ/trivia / テーマ: 洋画 / ジャンル: 映画
今頃なんですが、上野に来たので見てきました。

映画『英国王のスピーチ』

お兄さんが「王冠をかけた恋」で退陣して、王様になることになってしまった「バーティ」ジョージ6世とたたき上げの言語指導者ライオネル・ローグ先生。

スピーチ指導って英語講師はだれでもやった覚えがあるよね。クライマックスシーンではローグ先生といっしょに踊りそうになってしまっていました。 こういう例えをすると語弊があるかも知れないけど、言葉がテーマで立場の全く違う二人の人間が向き合うというあたり、ちょっとマイ・フェア・レィディを連想しました。

英語関係者のみなさまにとっては、言葉に関するこだわり部分がとっても楽しいと思います。大英帝国時代の英国王室が舞台で、ローグ先生はオーストラリア人。キングス・イングリッシュ、オーストラリア訛り、イギリス庶民の英語、シンプソン夫人のアメリカ英語・・・と美味しい美味しい。そしてイギリスですから、シェイクスピアも出てくるし、イギリス人の口語につきもののBloodyも出てくる。にんまりできます。

加えてここのところちょっとばかり英国王室の歴史を調べていたので、王室にとっての英語とか、イギリス国教とか、宮殿とか、ドイツとの関係とか、二人のエリザベスについてなど、背景がわかってけっこうニンマリできたというのもありました。イヤミな趣味かも・・・

映画の中盤くらいでたしかチャーチルが「アルバートはドイツ風すぎる。」って言う場面があるのですが、ジョージ6世のひいおばあさんのヴィクトリア女王のときまでイギリス王室は「ハノーヴァー家」って言っていたんですよね。血縁をたどってハノーヴァー公国からイギリスへやってきた王室でハノーヴァー公国の君主も兼任して、代々王妃はドイツ系だった。ヴィクトリア女王は女性なのでハノーヴァー国は継げないということで、夫君アルバートの姓を使ってサクス=コバーグ=ゴータ家というようになったんだけど、ジョージ6世はそのアルバートの名前をもらって「バーティー」。お父さんのジョージ5世が第一次世界大戦でドイツと戦うことになってまずいだろうと言うことで、ウィンザーという名前を使うようになって、ウィンザー家。

そういうウィンザー家なので、国王が英語でスピーチをするってとっても重要だとジョージ5世は考えたんですよね。まだ国民が王室のドイツとの濃い関係を知っている頃だし、親戚筋のドイツの王室はみんな潰れてしまう。国民にアピールしないと王室は滅亡する。そう思って見ると、ジョージ5世の言いたいこともわかります。

ジョージ6世の奥さんのエリザベスは先日亡くなってしまいましたが、国母と呼ばれてものすごく人気のある人でした。ジョージ5世のお母さんのメアリーは、王妃候補として選ばれて婚約した皇太子が亡くなってそのままジョージ5世と結婚した人なので、とにかく王家に拘る人だったそうです。映画でもジョージ6世が自分は乳母に育てられてって語る場面があります。ジョージ6世とエリザベスの家庭はずっと庶民的な感じに描かれています。ここもふんふん。

あと、イギリス国教は中身はほとんどカトリックなのですが、法王の代わりに国王がトップにいて、実質的な聖職者の長はカンタベリー大司教です。これも知っているとにんまりできるシーンがあります。ヘンリー8世の離婚騒動でカトリックから分離したのに、離婚歴のある女性との結婚はダメなんですね。ふーん。

ファッションはイギリス映画らしく地味ですが高級。もうちょっと女性陣の衣装は派手でも良かったのになあ。

また、きっとDVDで見たりするだろうと思います。
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2011.04.27 / コメント:: 0 / トラックバック:: 0 / PageTop↑


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ナカイサヤカ

Author:ナカイサヤカ
ナカイサヤカ/Sayaka Nakai
東京の下町SOHOで、英語翻訳しています。
2012年3月に脳内出血で左片麻痺になり、長年暮らした谷根千を離れ、スカイツリーが見える隅田川沿いに引っ越しました。夫と猫と成人した娘たちとくらしてます。

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