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なぜ大型家電店にはマッサージチェア・コーナーがあるのか
カテゴリ: 日々のネタ/trivia
「日々の生活から起きていることを観察しよう!! by ムギ」の「マッサージについての考察」という記事がずっと気になっていた。http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/point_of_view/2005/07/post_60ff.html

持病の再発と原因不明の発熱から始まって、数ヶ月。直接の原因は顎関節症だったのだが、へろへろになってしまった体を立て直すべく、かなり集中的にマッサージに投資していたからである。

昔、お風呂やさんに置いてあったマッサージ機に比べたら、現代のマッサージチェアは、ハイテクの極みと言って良い。まさに椅子型サービスロボットという感じで、「ああ、そこそこ!やめないで!」と言いたくなることさえある。(と、思っていたら、新型機には「そこもっとボタン」というのがついている。みんな思うことは同じらしい。)

今、売れ筋の大型テレビに比べたら、それほど高額でもない機械だが、確かにその大きさはネックである。ただ、使わないときには大型の一人用ソファとして使おうと思えば、置けない大きさではない。むしろ最大の問題は、アップデイトが出来ないことではないだろうか。

実は、やたらに広い家に住んでいる田舎の両親が比較的早い時期にこれを購入しているのだが、悪くはないものの、最新モデルを体験してしまうと、どうにも不満足感が残る。パソコンと同じで、待てば待つほど性能もコストパーフォーマンスも良くなるので、思ったときに買わなくては買えない製品なのだ。そして、そういう性質のものとしては確かにカサばりすぎる。

もう一つは、人手によるマッサージの場合、私たちはマッサージそのものだけではなくて、施術の時間を買っている。スーパー銭湯、サウナやエステ、そして旅行と同じで、お約束の時間内は世間と隔絶されさらにマッサージ施術者が一人、つきっきりで世話をしてくれる。人の手の持つ暖かさや、同じ時間を共有する人間同士の共感、そして自分を他人に委ねてしまう快感は、残念ながらマッサージチェアでは得られない。最初は同じように感じても、チェアにはだんだん飽きてしまうような気がする。いくら精巧でも「この前よりこっていますね」とはまだ言ってくれないのが、今のところ機械の悲しい限界だ。

それでは、多大な開発費をかけたマッサージチェアは、どこへ売れているのだろう? スポーツクラブ、スーパー銭湯、マンガ喫茶、インターネットカフェなどで見かけることが多い気がする。ビジネスホテルやフェリーにも置いてあった。つまりムギさんが言う「多数が共有する自動販売機型」である。ほとんどの場合一人のお客が占領するのを防ぐためにコイン式を導入しているから、本体価格と10分100円の値段を比較すれば、導入のリスクは少ないと言っていい。

こう考えてくると謎なのは、大型家電店に並んでいるチェアである。人目があるとは言え、無料で好きなだけ使って「いかがですか?」と勧められることもない。「お父さんたちの休憩所」と化している光景も珍しくない。店としてもかなりの展示スペースを取っているはずなのに、なぜチェアコーナーがあるのだろう?

仮説として、ここで行われているのは、おそらく購入者開拓ではなくて利用者開拓なのだと考えてみたらどうだろう。心地よさを体験した人は、どこかでコイン式チェアを見かけたら使う可能性が高い。「うちのインターネットカフェは、マッサージチェアも無料で使えます」と言うのが売り文句になるのは、使いたい人がいてこそである。それなら、コイン式のチェアに「たまらない快感、揉み心地」などと惹句がついているのを見たことがないのも、納得出来る。黙って座ればどうなるか・・・もうかなりの人が知っているのである。
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2005.07.31 / コメント:: 0 / トラックバック:: 0 / PageTop↑


本当にすごいのは(水からの伝言とオニババ)
カテゴリ: 日々のネタ/trivia
「理科」じゃなくて「道徳」だからいいのだと言うよくわからない理論で、公立の小学校で「水からの伝言」を教材に使う先生がけっこういるらしい。

実例としては、私のネット友達のblogを参照していただきたいのだが、

http://blog.goo.ne.jp/odorachan

理科じゃなくても、似非科学を教えてどうするという問題の他に、道徳教育の底の浅さも見えて、ため息だけが出てしまう。(実際問題として
まともな神経の人は、ここで脱力してしまい、問題として取り上げるに至らないのかもしれない。)

自分の子ども時代を思い返しても、心から馬鹿にしてた授業は道徳だったし、今、自分の子どもに聞いてもそうらしい。道徳教育にもっと力を入れてという声は多いが、そう言う方にもぜひ考えて欲しい。問題は道徳の時間が削られることでも、道徳の時間に感動的な話を教えないことでもない。感動とはどういうことなのかということ、思いやりの心はどこからわき出てくるのか、人と自分についてじっくり考える習慣はどうやったら生まれるのかという、根本的なことがないがしろにされていることなのだ。

例えば、「自分は子どもの頃、偉人の話を聞いて感動した」という方がいたら、考えて欲しい。そのとき「すごい人がいるものだなあ」と思っただけだったか、それとも「自分もそうなりたい」と思ったか。たぶん後者ではないだろうか。だからこそ感動して覚えているのではないだろうか?

「自分もそうなりたい」と思ったということは、自分もそうなれるかもしれないと思っていたからである。自分というものに対する自己評価が高いから感動することができて、人を思いやる余裕も生まれ、自分にもできると思うから、では実際にできることは何だろうと考えて実行する。それが道徳教育の根本にあるべきことなのだ。

私の地元には、卵子が受精してから母胎で育ち出産するまでのビデオを持って学校を巡っている老先生がいらっしゃる。子ども達は、生命が生まれてくる仕組みに感嘆して、自分もそういう仕組みを受け継いで生まれてきたことに本当に感動するそうだ。老先生はそこで「命は命からしか生まれない」と話をすすめる。「遺伝子の仕組みから考えれば、君たちは半分はお母さんで半分はお父さんだ。でも君たちはお父さんとお母さんに似ているけど違うよね。不思議だね。」ともおっしゃる。子ども達はしーんと考え込むらしい。

これと「水にありがとうというときれいな結晶ができるんだよ。ご飯にバカヤロウというと腐っちゃうんだよ」という授業を比べて欲しい。自然の神秘を感じるのはどっちだろう?

人間という生物は実際本当にすごい。(ちょうど「オニババ化する女たち」を読み終えて、まあ著者の言わんとすることはわかった。確かに現代人は自分の身体と向きあわないし、身体の可能性を軽視しすぎている。でも、これもトンデモ・ボーダー本で読み手によってはまずい方向に解釈されてしまうので、危ない本かもしれない。)

機械で測定して見せてくれるなら、例えば大工さん達のカンナがけ大会を見せて欲しい。全身の能力をフルに活用すると、大工さんは手作業で木材をミクロンの単位の薄さに削ることができるのだ。あるいは、パラボラアンテナを作る職人さん。寸分の狂いもない科学機器は、完全な手作りなのだ。香水を作る職人さんがかぎ分けるにおいの種類。水だってそうだ。利き酒をする人たちは酒の成分だけじゃなくて使われている水の産地も判別できる。

私は比較的長い間、陶磁器の分類・復元を仕事にしてきたが、出土した小さな破片であっても、指先の感覚と視覚と想像力をフル活用すれば、かなり高い確率でそれがどんな時代のどの産地のどんな形の器の破片かを判定することができる。(ただし研究者は十分な条件を満たしたもの以外はわかっていても「わからない」と言う。それが学問の良心というものだ。)

人間はすごい。人間であるから自分もすごい。そしてすごい力は自然が人間に与えてくれたものだと考えていけば、水を含めた自然に対する畏敬の念は自然に生まれてくるはずである。正当な科学と道徳はまったく矛盾しないのだ。

私が似非科学を嫌うのは、ほとんどがまず科学を否定して「科学では計り知れないことがある」と始めるからだ。計り知れない不思議を知っているから科学はそれを探ろうとするものなのに・・・
2005.07.23 / コメント:: 0 / トラックバック:: 0 / PageTop↑


川合千鶴子論骨組み完了
カテゴリ: 未分類
2日3日と京都にオフに出かける予定だったので、28日からの3日間、ずっとずっと暖めて発酵させていたのものを全て放出するように、川合千鶴子論の下書きを完了させた。
あとは、作品をひきながら、体裁と推敲をすればいいのだが、こうやって勢いよく書いたのも久しぶりなので、文体は殺さないようにしようと思う。

川合千鶴子は私の短歌の師匠なわけだが、40代で家庭の主婦から歌人として再出発し、たちまち歌壇でも一目置かれる歌人として女性結社「明日香」の代表となり、以来40年近く第一線の歌人であり続けている。

自分では「台所短歌」と言い、男性歌人はそう受け止める人もいるが、彼女の本領は海外旅行詠である。着物で過ごしてきた人なので、海外へ行くときも着物と帯を鞄に詰め、どこへでも出かけていく。

「着物は平たくなるから便利なのよ。私は辺境の旅が好きだわ」とおっしゃるように、インド、メキシコ、シベリア、旧東西ドイツ国境とそう言うところへ着物を着てずんずんと行って、歌を詠む。

我が師匠は、男性の目に入らない女の暮らしが気になって仕方ない人でもある。子どもがおむつをしていない、牛糞を外壁になすりつけて乾燥させ、燃料にするのも女の仕事。ポンペイの遺跡では、モザイクの床を磨いた女奴隷がいたのだろうなと、そういう歌をはじめて詠んだ人でもある。

私の「川合千鶴子論」は「明日香」70周年記念誌に載る予定なのだが、他にも老若の女性歌人の短歌論の原稿が編集部に届いてきている。

川合千鶴子の第一歌集「緑地帯」の文庫化の折りに解説を書かせていただいたので、私としては川合千鶴子論第2弾なのだが、「女が生きていいくこと」という視点で読むとそれなりに面白いかなと自負しつつ、さて、完成へと筆を進めることにしよう。
2005.07.05 / コメント:: 0 / トラックバック:: 0 / PageTop↑


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プロフィール

ナカイサヤカ

Author:ナカイサヤカ
ナカイサヤカ/Sayaka Nakai
東京の下町SOHOで、英語翻訳しています。
2012年3月に脳内出血で左片麻痺になり、長年暮らした谷根千を離れ、スカイツリーが見える隅田川沿いに引っ越しました。夫と猫と成人した娘たちとくらしてます。

翻訳:
ビジネス・メール翻訳のWhoopee! Mail の翻訳者チームにいます。自動翻訳みたいにちゃっちゃっと使えて早い。だけど訳しているのは少数精鋭の翻訳者チームなので、お仕事のテキストも安心です。
翻訳ってどこに頼んだらいいのかわからないというときも、英語スタッフがちょっとだけいるというときも、お気軽にご利用ください。
I am a translator, English to Japanese/Japanese to English.
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学術系に強いインテリ・ネイティブ・チェッカーを複数人確保しております。直してもらったら、ニュアンスが違ってしまったと言うことがないように、丁寧な英文校正をします。

不思議:
ASIOS の会員・運営委員です。今後はここでも超常現象系のお話をするかも知れません。ことしもASIOSからはたくさん本が出る予定です。
ASIOS is the Japan's skeptics in action.

絵本・ブックハンター:
文溪堂の「探し絵シリーズ」(世界一周他全9冊)が人気です。みなさまに感謝。もしまだの方は、ぜひ手にとってご覧下さい。こうした絵本を探してきて、出版社と相談する仕事も続けています。実は探し絵シリーズも私が探してきた本なのです。情報お待ちしております。
I am translating and publishing Children's books from English to Japanese. Are you searching a way to publish your books in Japan? I, may be, can help.

英会話
毎月第1第3金曜日に< a href=”http://www4.plala.or.jp/yosikawa-culture/index.html”>吉川カルチャークラブで、とってもやさしい英会話を教えています。月1回から2回で若くなくてもちゃーんと伸びて、しかもネイティブっぽい発音になるというちょっと不思議なメソッドです。

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I speak, write, think in English. So ask me!

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